メモ 日本の領域問題について

専門の方のお話を聞く機会があったのでポイントをメモっておく。

近代主権国家とは領域国家である。自国の領域内では排他的な管轄権を有する。領域管轄権>人的管轄権。この文脈ではサイバー空間をどう扱うのかが近年の課題。

  • 領海・・・基線から12海里まで領海とすることができ、主権が及ぶ。ただし無害通航権というのがあって通り抜けは許される。
  • 接続水域・・・基線から24海里まで。検査みたいなことができる。扱いとしては公海。
  • 排他的経済水域(EEZ)・・・いわゆる200海里。ただし大陸棚によって延長できる。生物・非生物を含む天然資源の権利など。往々にして相対国・隣接国で重なるので国際法に基づき調整が必要。

つづいて日本の領土問題

  • 北方領土・・・ロシア側は、ソ連時代は領土問題があることも認めていなかったが、ソ連崩壊後に領土問題の存在は認めるようになった。今までのロシアのポジションは、ことの次第によっては2島(歯舞・色丹)だけ恩恵として譲って(返還ではないことに注意)やらんでもない、という程度のもの。日本は4島返還の原則を固守。新聞はロシアが北方領土を「実効支配」していると書くが、政府は絶対にそうは言わない。実効支配は領有権主張の条件となりうるからだ。なので、不法占拠と言う。岡田外相が不法占拠の言葉を嫌ったので少し面倒な状況になっている。
  • 竹島・・・韓国は領土問題の存在を認めていない。そのクセに国際社会に向けてなんやかやとアピールする。ここも韓国が「不法占拠している」と言う。
  • 尖閣諸島・・・日本は領土問題の存在自体を認めていない。「実効支配」と言ってしまうと問題があるみたいなので「有効に支配している」と言うそうな。米国は、日本の「施政権が及んでいるので」安保条約の対象になる、と言っている。領有権のことには実は触れていない。

日本とは直接関係ないが、中国は南シナ海ほぼ全域(フィリピン、ベトナム、ブルネイの海岸際まで)に主権を主張している。地図で見ると冗談みたいな線引きである。国際法ではまったく説明できないが、歴史的経緯がどうのこうのと言っている。南沙諸島などでASEAN諸国と領有権争い。


わが国の大陸棚拡大が国連の委員会で認められた(2012年4月27日発表)。沖ノ鳥島から南に延伸している部分だけペンディング。ただし沖ノ鳥島から北に延伸している部分は、比較的狭い面積ながら認定されている。

沖ノ鳥島・・・国際法の曖昧な書き方(「岩」の定義がない)のために論争になっている。