『 ぼおるぺん 古事記 一』こうの史代 ペンで世界を産み出す

ぼおるぺん古事記 (一)天の巻

ぼおるぺん古事記 (一)天の巻


近所の本屋に寄ったら、「古事記」特集のコーナーが目立つところにできていた。けっこうな数の関連本が出版されているし、雑誌の特集まである。なぜにいま「古事記」なんだろう?

この本もそんなプチ古事記ブームの一角を占めることになるのだろうか。こうの史代の描くマンガ版「古事記」である。アマゾンのおすすめで表紙にあるアマテラスの丸顔を見た瞬間、これは「買い」だと感じた。

文章は現代語訳せず、普通の漢字仮名遣いにして注釈を加えるにとどめている。古代の文学らしく、どんなに劇的だったり残酷だったりする場面でもあっさりしていて余白の多い「古事記」の文章。その余白は画で埋めてみようと言うわけだ。その試みは成功していると思う。黄泉国のイザナミが寝そべってテレビを見ながら足でチャンネルをいじっている光景にはニンマリさせられる。

続きも楽しみ。