バナナ卸売業者の移転価格事案 税務通信より
(税務通信 平成24年7月23日号より)
バナナ卸売業者への移転価格事案で納税者敗訴
東京地裁 分割要因に「販管費」を含めるべきと判断
独立企業間価格の算定方法の一つである「寄与度利益分割法」(法人と国外関連者の利益を合算し,これを利益への寄与度に応じて,法人と国外関連者に再配分する方法)を適用する場合,その寄与度を測るためにどのような費用(分割要因)を用いるべきかで問題になることもある。
ところで,バナナ卸売業者に対し寄与度利益分割法による移転価格課税を行う際に,寄与度を測るための分割要因として「販管費」を用いることが適法か否かなどを巡り争われた事案について,東京地裁は 4 月 27 日,適法であると判断した(平成 21 年(行ウ)第 581 号)。本事案は現在,東京高裁に係属中である。
裁判の争点そのものについては、さほど興味がない。かなり特殊な事案という印象で、何故にこんな形で裁判で争っているのかが気になった。
記事による事実関係
・納税者はバミューダ法人の100%子会社。バナナを仕入れている先は兄弟会社のバハマ法人。このバナナの移転価格が問題。
・納税者の機能は卸売りのみ。バハマ法人も同じく卸売り機能のみで、これまた兄弟会社のエクアドル法人からバナナを仕入れている。
・当局が採用した手法はなぜか寄与度利益分割法。*1
・販管費全体をファクターにしている。内部費用*2だけではない。
・所得更正額は約40億円。*3
ふつふつと湧いてきた疑問
・エクアドル法人は放っておいて良いの?
・末端卸売業者と中間卸売業者の2社で利益分割。。。卸売り機能に属するルーチン利益を山分け?腑に落ちぬ。
・40億円は大きい。。。仮に利益率10%としても売上高400億円。一方、日本のバナナ輸入量は100万t/年。ざっくり100円/kgとして市場規模1,000億円。複数年更正されたであろうから、なんとかありえる金額か。