2013年8月に読んだ本

神に追われて

神に追われて


毎日新聞の書評欄で俵万智が紹介していたのを読んで興味を引かれた。これはリアル「千年万年りんごの子」ではないかと。谷川健一って名前は聞きつつも今まで著作は読んだことがなかった(どうでもいいがプロ野球の谷沢健一とごっちゃになる)。

聞き書きがベースだと思うのだが、自らの意思に反して神に魅入られてしまった人々の体験を小説風に描く。幻想と事実がないまぜになったような内容だが、語り手たちの主観的な記憶の中ではまさにこういう世界になっていたのであろうと思わせる。中井久夫の「創造の病い」を思い出した。

最後は沖縄の伝統行事保存とか環境保護みたいな日常的な風景にオチていて、夢から醒めたようでちょっとホッとした。


コン・ティキ号探検記 (ちくま文庫)

コン・ティキ号探検記 (ちくま文庫)


夏休みっぽい本ということで選択。とにかく大胆で気風のいいヴァイキング野郎どもの航海記というか漂流記。


終わらざる夏 上 (集英社文庫 あ 36-18)

終わらざる夏 上 (集英社文庫 あ 36-18)


終わらざる夏 中 (集英社文庫 あ 36-19)

終わらざる夏 中 (集英社文庫 あ 36-19)


終わらざる夏 下 (集英社文庫 あ 36-20)

終わらざる夏 下 (集英社文庫 あ 36-20)


千島列島の先端、カムチャッカの目の前にある占守島でおこった8/15より後でのソ連との戦闘に材をとった小説。直球勝負。


ソーラー (新潮クレスト・ブックス)

ソーラー (新潮クレスト・ブックス)


はじめは「イギリス人はなんてせせこましい小説が好きなんだろう」と思いつつ読んでいたが、そのうちジワジワと面白みが湧いてきた。「ノーベル賞受賞者が実はこんなセコイ男で」なんて設定はどちらかというと陳腐な感じすらするものの、細かい話芸で読者を放さない。

ワタクシのせまい読書経験の範囲での感想を述べてしまえば町田康に似ている気がする。防寒手袋を何度もつけたり外したりするシーンとか、そういう細かい芸風が。


ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)


まだまだ導入部でなんとも言えない。ヴァイキングが北米大陸(=ヴィンランド)まで足を伸ばしていた史実に題材を得ている模様。