『ブーメラン』マイケル・ルイス バブルに見る欧州各国の文化

- 作者: マイケル・ルイス,東江 一紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/01/25
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『世紀の空売り』の姉妹篇といったところ。二匹目のドジョウを狙った感があって前作の興奮とまではいかないが、欧州危機の裏側をインタビューであぶりだして、新聞記事や他の読み物とはあきらかに違った面白味がある。それに、前作は金融に関する若干の予備知識がないと十分に楽しめないように思われたが、こちらはあまり予備知識がなくても問題なさそうだ。金融危機を描きながら、皮肉のきいた欧州各国文化論となっている。
俎上に上がるのは、アイスランド、ギリシャ、アイルランド、ドイツとカリフォルニア。
中でも興味深かったアイスランドについて。もともと豊富な漁業資源とエネルギー(地熱)を持つアイスランド。権利を取引できる漁獲高割当政策が成功し、大手の猟師に水揚げ高が流れ込み、国全体も豊かになり博士号を持つ若者が増えた。しかし、アイスランドの産業と言えばトロール漁とアルミ精錬しかない。。。しかもアイスランドの男たちは伝統的にきわめてマッチョであり、漁師≒山師の素質がある。そこへ投資銀行業が現れてしまったのだ。アイスランドの男たちが夢見た栄光は、サガ博物館に展示されているバイキングの栄光とよく似ている。
こっちが前作。

- 作者: マイケル・ルイス,東江 一紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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破格の面白さでした。アメリカの住宅バブルからリーマン・ショックに至る顛末の裏にあった群像劇。ウォール街を占拠したくなる気持ちが分かる一冊。