Amazon と消費税
2013年9月に読んだ本
群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序 (PHPサイエンス・ワールド新書)
- 作者: 郡司ぺギオー幸夫
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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毎日新聞の養老孟司書評によると「わかりにくい本を書く著者だったが、今回の著作はみごとにわかりやすくなっている。」とのコトだが、これまでの著作はホントに難しかったのだろうな。
群れがまるでひとつの生き物みたいに動くメカニズムを、実際の動物の群れを観察したり、コンピューター上でシミュレーションしたりして研究するわけだが、そんな研究をする問題意識の根底では「個体-群れ」の関係を「脳細胞-意識」になぞらえている。
- 作者: 鎌田道隆
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/02/22
- メディア: 新書
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伊勢神宮の式年遷宮の年にあわせて発刊されたと思しき新書。図書館で気軽に手に取ったが意外と面白かった。
江戸時代のお伊勢参りを「おかげまいり」を中心に解説し、最後の章では、著者が学生たちと徒歩でのお伊勢参りを再現する様子が描かれている。もっとも印象に残ったのは、お伊勢参り再現の旅での以下のエピソード。
けっこう苦心するのが道中での休憩場所(特にトイレ)。2回目の年に行き当った長屋門のある民家で、門の下を食事場所に使わせてもらえるよう頼んだ。そうしたら中に招き入れられて、味噌汁やゆで卵などのたいへんな歓待を受け、翌年以降も必ずその家で昼食をとってご接待を受けるようになった。10年以上それが続いた後、もう年をとって思うようなご接待ができないということで場所提供のお断りがあった。著者らは、ご接待は不要なのでトイレと軒下だけでも使わせてほしいと頼んだが、あくまでも固辞された。その後も毎年、通り過ぎる学生たちに声をかけたり、金一封まで渡してくれたりといった交流は続いた。
ほんとうの「ご接待」とは何ぞやということに思いをいたすエピソードである(ちなみに、まったく同様の事例が他の集落でもあった)。うまく言葉にできないが、人をもてなすというのは、もてなす側の覚悟というか、そういう真剣勝負みたいなところがある。田舎や関西にはその気風がまだ色濃いように思う。
- 作者: 花沢健吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/10/30
- メディア: コミック
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じっくり、じっくりとしか話が進まないが、いよいよ新展開。
- 作者: 大村幸弘,永田雄三,内藤正典
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2012/03/30
- メディア: 単行本
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トルコの歴史・文化・政治についてオムニバス形式で色んな人が書いている。
消費税8%へ
さんざん引っぱったけれど元鞘ということで。
景気には上げたなりのインパクトはあるんだろうな。あと駆け込み需要&その反動も漏れなくついてくるだろう。
既に法律では謳われている10%への引き上げは、世間でどれくらい織り込まれているだろうか。「景気動向次第」がかなり強調されてるので、個人的には上げる/上げないはかなりニュートラルに近いと感じている。これには良し悪しがありそうで、10%、さらにはその後も税率が上がっていく予想があれば、来年の8%への引き上げ時における混乱・景気減退にある程度の歯止めがかかる気がする。近いうちの税率upが確実視されれば、いま消費を押さえる必要性が減退するからだ。先行き不透明であることがもっとも消費を抑制してしまいそう。だから1%ずつ小刻みに上げたほうがよいと。。。
さて、法人税のほうも気になる。こんな報道があった。
[東京 30日 ロイター] - 自民・公明両党は30日、断続的に与党税制協議会を開き、復興特別法人税の1年前倒し廃止について「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提」に検討することで決着した。法人実効税率引き下げについては「速やかに検討を開始する」ことで合意した。
(略)
一方、財界からの要望が強い法人実効税率引き下げに関しては「財政健全化を勘案し、政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や他の税目での増収策による財源確保を図る必要がある」など、財源確保が前提との方針を示している。
(略)
政府は復興特別法人税の1年前倒し廃止を消費増税に伴う経済対策の重要な柱と位置付け「継続的な賃上げへの第一歩を踏み出すきっかけ」になると説明。「経済界に賃上げや下請け企業の支援に積極的に取り組むよう要請する」ことや、経済産業省が主要企業の賃金の動向を調査し効果を検証、結果を公表する仕組みをつくることで、実効性の担保を導く方針を提示し、与党との調整を進めていた。
投資減税の案が打ち出されていたがインパクト不足ということで、法人税率下げを視野に入れて復興増税を1年前倒しで廃止するようだ。法人税率を下げてダイレクトに賃金upに結びつくとも思えず、投資減税の方が景気対策として直接的だろうが、そもそも国内に積極的に投資したい会社が少ない中で、十分なインパクトを持つ投資減税の設計は技術的にも難しかったか。
とりあえず、賃上げの検証はロクでもないことになる予感が濃厚。
先々の法人税率下げについては引き換え条件のひとつとして課税ベースの拡大を挙げているが、これまでも散々やってきて引当金なんか全滅状態だし、これ以上なにをやるつもりだろう。よく知らんけれどナフサとか?あと主なところではは試験研究費減税か。比較的スジの悪くない政策減税だと思うし、なくしてほしくないな。耐用年数をいじるのもいい加減にしてほしいし。まさか、海外子会社配当免税を見直す?そういう朝令暮改みたいなことはするまいと信じているが。
『ミッドウェー海戦』森史朗 本筋から少しはずれた感想も含め
- 作者: 森史朗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05/25
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- 作者: 森史朗
- 出版社/メーカー: 新潮社
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ミッドウェー海戦といえば太平洋戦争の流れを変えた戦い。まだ日米両軍の戦力はほぼ互角だったが米側の圧勝に終わったため、なにが明暗を分けたかを解き明かそうと多くの言説がみられる。本書は2012年刊と比較的あたらしい本だが、両軍の公式記録だけでなく著者が長年にわたって行ってきた関係者へのインタビューを元にしており、海戦の推移を大局的な観点、および当事者の思いの両面からつづっている。
本書は、わりと有名な「運命の5分間」を参謀らによる責任逃れの作話として退けており、南雲司令部の慢心*1や優柔不断さを主な敗因としている感じがある。だが個人的には、ひとつひとつの経緯を追っていくと、むしろ錯綜した「戦場の霧」の中でのちょっとした運が勝敗を分けた*2感が強くなった。
やや記述も錯綜していて分かりにくいところがあるのが残念だが、臨場感をもってミッドウェー海戦の様子を伝えてくれる本である。
ところで、本筋のミッドウェー海戦とは直接関係ない記述に引っかかるものがあった。
真珠湾攻撃では、日本軍が戦艦軍を沈めただけで満足し、第二波攻撃を送り込んで石油タンクなどの地上施設を破壊しなかったのが失策視されることがある。たしかに、そのときに地上施設までしっかり破壊しておけばミッドウェーに米空母が3隻揃い踏みすることもなかったかもしれないのだ。
この件については単に南雲司令部、特に草鹿参謀長の消極姿勢に帰する文章をどこかで読んだ記憶があるのだが、本書によれば、造船工場や石油タンクを攻撃目標にしなかった理由として、民需施設があるかもしれず「国際法違反になる恐れがある」として、爆撃目標としないよう攻撃隊員たちに指示をしていたというのだ。重慶爆撃で批判にさらされたことが影響しているのだろうが、後に米軍が本土をどれだけ爆撃したかを思えば、なにを悠長なことを言っているのかとの思いを禁じえない*3。
たしかに、日本の当初の戦争プランが、緒戦で優位に立ってからうまく講和に持ち込む、といったものであったことを思えば、無差別爆撃により必要以上に敵愾心を煽るのを避けたい気持ちは分かる。だがなお、圧倒的に優位に立っていればそういう限定的な戦争というプランもありなのだろうが、相手が力で上回る時に及び腰で戦争をしてどうにかなると思うのはおよそまともな状況判断ではない。ガキ大将に刃向かうものの、相手が怖いので怒らせないように遠慮するが、遠慮の甲斐もなく結果的にボコボコにされるようなものか。
ミッドウェー作戦にしても、仮に成功したところでハワイ攻略までできるかは全く不透明であり、あらゆる見地からいって「やってはいけない戦争」だったと思うことしきりだ。
再訪 ミルグラムの服従実験 : 実際のところ何を証明したのか?
(2013年9月11付の"boing boing"書評記事を試しに訳してみた*1。ミルグラムの実験といえば心理学でもっとも有名な部類にはいる実験。この記事には、ビックリしたの半分、「ああ、やっぱり」と納得したの半分といったところ。)
スタンリー・ミルグラムの服従実験といえば、ただ単に実験者から指示されたというだけで被験者が他の被験者を死に追いやるまで電気ショックを与えてしまったと信じこんでいたというものだ。しかし、オーストラリアのジャーナリスト兼心理学者であるジーナ・ペリーの新著"Behind the Shock Machine: The Untold Story of the Notorious Milgram Psychology Experiments"は実験の原資料を再検証して、ミルグラムが結果をでっちあげたと結論づけている。
ペリーはミルグラム実験のオリジナル・テープを検証し、被験者と研究者で存命の人々にインタビューもした上で、ミルグラムの実験者たちは台本を守らず(これは既に今までに判明していた)、むしろ被験者をなだめたり、おどしたりして何とかショック・ダイヤルを上げさせていたと結論した。さらには、少なからぬ割合の被験者は設定を見破って、ほんとうは電気ショックなぞ実在しないことに気づいていた。そんな被験者たちも、白衣の男の発言にしたがって赤
垢の他人に死に至るほどの電気ショックを進んで与えていたとしてカウントされていたのだ。
以下、"Pacific Standard"からの引用
もしミルグラムのやったことが事後説明プロセスに関するでっち上げの説明だけだったならば、彼の発見はまだなお有効なものだったろう。しかしペリーは、ミルグラムが実験データをも細工していたことを見つけてしまった。できるだけ科学的に見られることを期待してか、論文でミルグラムは実験手続きの画一性を強調している。彼の説明によれば、被験者が続けることに抗議するか懸念を表明したときには、それに対して実験者が4段階にわたって行動を促す刺激を与えた。もし4番目の刺激(「あなたには他に選択肢はありません、先生。続けなさい。」)の後でも被験者が続けることを拒んだならば、実験の終了が宣言されて、被験者は「不服従」としてカウントされたという。しかし、ペリーが聞いたエール大学の録音テープでは、ミルグラムの実験者たちは即興でどんどん台本から遠ざかっていき、被験者に続けさせるように誘導、または見方によっては強要をしていた。基準の不整合は、服従と不服従との境界線が被験者や試行によりまちまちに動いていたことを意味するだけでなく、有名な65%の遵守率は(恣意的な意味づけ程度にしか)人間の本性と関係がないことを意味した。
ミルグラム実験の欠陥は次々とあきらかになった。おそらく最ものっぴきならないことに、ペリーは実験に参加した研究者の一人を見つけ出して、ほとんどの被験者が実際には設定を見抜いていたと信じるに足る理由を発見した。言いかえれば、被験者たちは自分がただの茶番に参加していると知っていたのだ。
徐々に、ペリーは実験をより根本的なレベルから疑うようになった。もし仮にミルグラムのデータが堅固なものだったとしても、彼らが服従について何を証明したかは(もし何かを証明していたとすればだが)明らかでない。もし仮に被験者の65%がもっとも高い電圧のショックを与えるところまで行ったとしても、残り35%はなぜ拒んだのだろうか?なぜ、人はある命令に従ったり、他の命令には従わなかったりするのか?そもそも、どのように人々や組織は権威を演じるのか?おそらくもっとも重要な疑問は、例えばどうやってエール大学実験室とナチ収容所とのあいだの繋がりを理論化するのか、ということだろう。またベトナムの場合であれば、1時間の実験と、何年にもわたる多面的な戦争とのあいだの繋がりを。これらの疑問に対してミルグラムの実験は、パッと見で示唆的に思えても、実のところ役立たずである。
ワタクシの感想
こんなことだろうと予想していたと言うつもりはない。正直、軽い驚きはある。しかし、なんだろう、この「やっぱり感」は。学生時分にこの実験のことを知った時から、何だかよくできた話であるとの印象は持っていたと思う。たとえば「このサクラ、どんだけ演技上手なんだ」とか。ワタクシはミルグラムの著書*2をちゃんと読んだこともないし、もちろんこちらの本も読んでいないからあまり断定的なことも言えないけれど、このミルグラム実験でっち上げ説はいかにもありそうに思える。面白い話は、ウソであっても広まりやすいってわけで。
本件のポイントは、ミルグラムの説が否定されたとかどうとかいうことよりも、むしろ心理学における実験の信頼性一般にあらためて懐疑論を投げかけたことだろう。少なくとも、「ナチ収容所で人間はいったいどんな心理状態に?」なんていう応用問題に、いきなり実験的手法で一足飛びに答えを見つけ出すのは無理筋だってことだ。上記記事(引用部)ラストの一段落なんか、心理学実験そのものにかなりストレートなダメ出しをしている感じだ。この懐疑論自体は新鮮味はないのかもしれないが、業界の人々にとってはやっぱり憂鬱な話ではなかろうか。
*1:なお、それのさらに元記事はこちら(Electric Schlock: Did Stanley Milgram's Famous Obedience Experiments Prove Anything? - Pacific Standard)。こんなに長いとよく訳しません。
2013年8月に読んだ本
- 作者: 谷川健一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/07
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毎日新聞の書評欄で俵万智が紹介していたのを読んで興味を引かれた。これはリアル「千年万年りんごの子」ではないかと。谷川健一って名前は聞きつつも今まで著作は読んだことがなかった(どうでもいいがプロ野球の谷沢健一とごっちゃになる)。
聞き書きがベースだと思うのだが、自らの意思に反して神に魅入られてしまった人々の体験を小説風に描く。幻想と事実がないまぜになったような内容だが、語り手たちの主観的な記憶の中ではまさにこういう世界になっていたのであろうと思わせる。中井久夫の「創造の病い」を思い出した。
最後は沖縄の伝統行事保存とか環境保護みたいな日常的な風景にオチていて、夢から醒めたようでちょっとホッとした。
- 作者: トールヘイエルダール,Thor Heyerdahl,水口志計夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/08
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夏休みっぽい本ということで選択。とにかく大胆で気風のいいヴァイキング野郎どもの航海記というか漂流記。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/06/26
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- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/06/26
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- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/06/26
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千島列島の先端、カムチャッカの目の前にある占守島でおこった8/15より後でのソ連との戦闘に材をとった小説。直球勝負。
- 作者: イアンマキューアン,Ian McEwan,村松潔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/08
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はじめは「イギリス人はなんてせせこましい小説が好きなんだろう」と思いつつ読んでいたが、そのうちジワジワと面白みが湧いてきた。「ノーベル賞受賞者が実はこんなセコイ男で」なんて設定はどちらかというと陳腐な感じすらするものの、細かい話芸で読者を放さない。
ワタクシのせまい読書経験の範囲での感想を述べてしまえば町田康に似ている気がする。防寒手袋を何度もつけたり外したりするシーンとか、そういう細かい芸風が。
- 作者: 幸村誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/08/23
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まだまだ導入部でなんとも言えない。ヴァイキングが北米大陸(=ヴィンランド)まで足を伸ばしていた史実に題材を得ている模様。
2013年7月に読んだ本
もう9月も終わりそうなのですが。
- 作者: 諫山創
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/17
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話題作なので今さらながら読んでみる。んー、粗削りだがインパクトはある。ゴキブリのやつと似たところがあるかな。
- 作者: 佐藤百合
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/12/17
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インドネシアの経済・政治を、現地在住の長い研究者がコンパクトにまとめた本。
生産性の伸び悩み・農業人口の高止まり・都市と地方の格差、といった大国ゆえの悩み(中国に近い?)が気がかり。
- 作者: 中里介山
- 発売日: 2012/09/13
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少しずつ読むのだ。
- 作者: 三木成夫
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/03/05
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保育園での講演を元にしている。ほとんど語ったままの形を本にしてあるようで、「はらわたの復権」とか、熱のこもった語りが講演の様子を髣髴とさせる。ただ、数十年を隔てて本を読むだけで接すると、伝わってくるものと、伝わってこないものとが、それぞれ自ずとあるだろう。
- 作者: 小山宙哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/06/21
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3Dプリンター登場。こういう近未来ものは、連載が長くなるとむずかしい所もあるね。
災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)
- 作者: レベッカソルニット,高月園子
- 出版社/メーカー: 亜紀書房
- 発売日: 2010/12/17
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いろいろとこの100年くらいの災害の事例を挙げてくれるのだが、何を見ても「災害時にみられるコミュニティや連帯は素晴らしい。ひきかえ既成権力はクソ」という話に終始するばかりで、なにがエリート・パニックと利他的行動の分かれ目なのかの分析はない。
思うに、著者はカトリーナのときにニューオーリンズで起こった「エリート・パニック」、すなわち行政(FEMAとか)の機能不全やら人種差別的な「自警団」の行動やらに強い問題意識をもっているようで、それならそれでカトリーナに的を絞ったノンフィクションでも書けばよくって、無理に災害ユートピア全般に話を広げて本をムダに厚くしなくてもと思った。
地域を豊かにする働き方: 被災地復興から見えてきたこと (ちくまプリマー新書)
- 作者: 関満博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/08/06
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個人的には首都圏での暮らしがほとんどで、職・住がセットになった「地域」という概念は実感が薄いのだよね。
ネットワーキングや人材育成の重要性など、ナルホドと思わせる話がちらほら。
- 作者: 下條信輔,タナカノリユキ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/11/21
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下條先生がもっぱら語り手の対談。
テーマは以下のように多彩;他者が自己に先んじる、来歴、フロー、シェアード・リアリティ、蒸発する自発性、リバタリアン・パターナリズム、泣くから悲しい、集団的な情動、大脳新皮質の暴走、ガルシア・エフェクト、ブラック・スワン、プリューガーの断頭ガエル、分散処理をする脳、etc・・・。
でも個々の話題の掘り下げがイマイチで、対談にした意義が見えづらい。
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2013/02/26
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神代編完結。あとがきによると、予定を変えて人代編にも取り組むそうで楽しみ。
- 作者: C.アウエハント,小松和彦,中沢新一,飯島吉晴,古家信平
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/06/15
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前々から興味があった本が文庫で再版された。豊富な事例を採録していて面白いが、江戸の庶民文化は飛び越えてしまって古事記の世界まで遡って構造主義的分析をするのには付いていけなかった。当時は、江戸の庶民生活に関する研究の蓄積がまだまだ不足していたそうだが。